「大地動乱の時代」
(1994.08.22 岩波新書No.350 石橋克彦著 234頁 735円)
著者は優秀な現役地震学者である。
関東東海地方の地震が歴史的にどのように襲ってきたかを詳述し、これからどうなるかについて述べている。
関東東海地方は日本列島の4つのプレートすべてが集中しせめぎ合う世界有数の地震地帯である。
特に南から北北西に年間約3cmで他のプレートに沈み込んでいるフィリッピン海プレートにより殆どの地震が発生している。
マグニチュードM8.4安政東海地震(1854年)、M7.9の大正関東地震(1923年)は何れもこれによる。
著者は過去400年の地震と火山活動の記録を詳細に調べ、注目すべき規則性を見出した。
過去少なくとも5回、73年毎にM7以上の地震を繰り返している小田原大震災(M7)の次の発生は1998.4±3.1年であり、この巾の最大値は2001.5年である。
また、東海地震(M8)1854年の間隔は147年でこれも次は2001年となっていて同時又は続いて発生する可能性が大きいことを指摘している。
小田原・東海地震の発生は間近に迫っている。大正関東大震災の次の発生は1923+220=2143年と先のことになる。
この本は阪神・淡路大震災の半年前に書かれているが軟弱地盤の上に広がる超過密高層ハイテク都市が震度6〜7の直撃を受けるのは人類にとって初体験であることを指摘し、新幹線、高速道路、超高層ビル、原子力発電所、ライフラインに対する上下水平の地震動、周期数秒以上の長周期大振幅の振動、液状化・側方流動に大きな懸念を示し、早急な分散型国土への移行を提言している。
「地震とは プレート弾性 定期テスト」
(葉隠・雲隠)
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